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一緒に考えましょう講座第24回

大学と市民をつなぐ

一緒に考えましょう講座 第24回

12 月 7日( 日) 午後 2-4時 plus

福島を離れて札幌と京都で母子避難している二人の方の報告が行なわれました。

「札幌避難者の現状」

宍戸隆子  札幌市内自主避難者コミュニティ「桜会」代表

宍戸さんの御講演はここからhttp://youtu.be/FUzGITWCo_A 映像でご覧いただけます。

講演内容はこちらから第24回宍戸講演ご覧いただけますが、講演者の校閲を受けていませんので、あくまで参考のための資料としてご参照ください。

「京都広域避難者の三年半を振り返って」

西山祐子   一般社団法人「みんなの手」代表理事

講演内容と講師紹介

場所 北海道大学スラブ・ユーシア研究センター4階

連絡先:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター家田研究室

電話 090-2813-4907  メール ieda@slav.hokudai.ac.jp

共催 北海道の自然と命のネットワーク

 

「北星・原発問題を考える会」講演会のご案内

「原発大国、フランスの実情:我々は何を学ぶことができるのか?」

講師:高橋百代教授(北星学園大学社会福祉部)

日時:2014年11月28日

場所:北星学園大学A館7回A703教室

参加無料、事前申し込み不要

連絡先:tel:011-891-2731   Email:z00372@hokusei.ac.jp

 

一緒に考えましょう講座第23回の御案内

日時:11月22日(土) 第23回 午後2時~4時

場所:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター4階大会議室

秋元信一さん 北海道大学農学研究院教授(昆虫学)

以下のアドレスで講演の動画を見ることができます。

http://youtu.be/kTXjKCYts78

講演資料はここakimotoをクリックすると見ることができます。

講演内容のテープ起こしはここ秋元講演をクリックすると読むことができますが、講演者の校閲を経ていません。このため引用などはできません。あくまで講演の概要を理解するための参考としてお役立てください。

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「放射能汚染地域での生物調査:放射能のアブラムシへの影響」

福島第一原発事故後、放射性降下物におおわれた地域では、生物にどのような影響が出ているのか、あるいは出ていないのかを明らかにするため、2012年から毎年、川俣町、飯舘村をまわり、生物への影響を調べてきた。今回は、アブラムシ(植物に寄生する小型昆虫)に注目し、小型の生物には、哺乳とは異なる影響が見られることを示したい。また、現在研究者が汚染地域でどのような調査を進めているのかを紹介します。

新刊案内

表紙:なぜ日本の災害復興は進まないのか

家田修著『なぜ日本の災害復興は進まないのか~ハンガリー赤泥流出事故の復興政策に学ぶ』現代人文社刊、2014年9月、255頁、3132円(税込)

著者が専門とするハンガリーで2010年10月に赤泥流出事故が起きました。環境と人体に極めて有害な産業廃棄物質が、溜池の決壊によってハンガリー、ヴェスプレーム県の周辺市町村に流出し、いずれ国際河川のドナウ川に流れ込むことが危惧され、ヨーロッパでは大きく報道された事故です。著者は同事故発生当初から現地におもむき、以降も何度か被災地を訪れ、ハンガリー側の協力も得ながら継続的に同事故の調査を続けました。

ところが翌年の3月に日本で東日本大震災と福島第一原発事故が発生します。まったくの偶然なのですが、この大震災発生の知らせを著者は出張先のウクライナで知ったのです。祖国日本は壊滅かと恐れながら日本に帰国すると、とりわけ原発事故に関しては、欧米での報道と日本国内の報道のされかたが余りにも異なっていることにとまどいました。また市民から大学と社会、知識と実践について多くの質問を受け、以降、「一緒に考えましょう講座」を市民の皆さんと共に3年あまり続けております。

2012年11月に福島市で行われた飯舘村避難者支援のシンポジウムでハンガリー赤泥事故からの復興政策について報告したところ、聴衆から大きな反応がありました。またシンポジウムに出席しておられた現代人文社の成澤社長から、広く社会に問う書物の出版を勧めてていただきました。つまり、多額の負債を負うハンガリー国が、国内外から集まった過去最高の募金(これは日本も同様でしたが)を手掛かりとして、被災者の復興住宅をわずか一年で建設し終えたという事実があるのです。しかもそれは公営住宅や集合住宅を建てたのではなく、被災者の希望を取り入れ、個人所有の住宅を建設したもので、世界的にもそのような事例はありません。どうしてこのようなことが可能だったのか。その基本理念や手法や実践課程を本著にまとめました。

またハンガリーの復興例では事故前の旧情にすみやかに戻るのではなく(日本ではそれも果たされていませんが)、復興計画に将来の地域像を盛り込んでより発展的な地域再生が目指されました。

日本の震災復興は遅々として進んでおりません。とりわけ原発被災地は人類にとって、無論日本にとっても有史以来の手さぐり状態で復興を模索しています。この日本の復興の現状に対して、ハンガリーの復興策が何らかの示唆を与えるのではないか、少しでも日本の被災者の救済に役立つのではないか、こうした願いをこめつつ書き、このたび出版されたので、御報告いたします。

一緒に考えましょう講座2014年度後半の予定

 

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2014年度後半の一緒に考えましょう講座日程をお知らせします。

会場はいずれも北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター4階大会議室です。

10月25日(土) 第22回 午後2時~4時

関口裕士さん 北海道新聞本社報道センター記者

「原発事故と新聞報道 ~取材現場からの報告~」

「3・11」の前と後で、世の中は大きく変わり、原発と向き合うメディアの姿勢も変わりました。東京電力福島第1原発事故以前から原子力の取材を担当し、事故後は毎月福島に通っている北海道新聞報道センターの関口裕士記者が、これまでの原子力報道の問題点や今後の課題、福島や幌延、泊など実際の取材現場で感じたこと、考えたことを報告します。

 

日時:11月22日(土) 第23回 午後2時~4時

秋元信一さん 北海道大学農学研究院教授(昆虫学)

「放射能汚染地域での生物調査:放射能のアブラムシへの影響」

 

日時:12月7日(日) 第24回 午後2時~4時

宍戸隆子さん 札幌市内の自主避難者コミュニティ・桜会代表

「札幌の避難者の現状 ~避難から移住へ、その試み~」

西山祐子さん 避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク みんなの手代表

「京都の広域避難者の3年半を振り返って」

トークセッション:広域連携で紡ぐ新たなつながり

 

主催/お問い合わせ 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 家田研究室

TEL090-2813-4907 ieda@slav.hokudai.ac.jp

共催:北海道の自然と命のネットワーク

 

一緒に考えましょう講座 「飯舘村のいま」

ポスター

講師 伊藤延由氏

 福島県相馬郡飯舘村“いいたてファーム”より

都会生まれの都会育ちIT技術者の伊藤氏は

飯舘村で農業研修所をまかされ、飯館の里山社会に

魅せられました。大震災以後も飯館に留まり、放射

線量の計測を続けています。水、空気、土、動植物

を現地で計測する伊藤氏の放射線データは、飯館村

の、物言わぬ生命たちの貴重な証言です。

飯舘村民と共に暮らし、村民の視点で被災者の思い

を発信する伊藤氏は私たちに何を語るのでしょうか。

2014年7月17日(木)18時より

学術交流会館

北海道大学正門を入って左手、一階小講堂

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター

家田研究室、ieda.idea.ory@gmail.com

☎ 090-2813-4907 または 011-706-3629

共催: 北海道の自然と命のネットワーク

入場無料、事前予約不要、ご質問ご意見を歓迎します

第19回 一緒に考えましょう講座ご案内

letsthink19pdf一緒に考えましょう講座第19回案内

「原発事故からの広域避難者:現状とニーズ」

  講師 湊源道氏 ルーツ・オブ・ジャパン代表

湊さんは被災者たちを北海道に迎え、住まい、仕事、様々な 生活基盤を整えることに尽力してこられました。避難者の現状 と課題を語っていただきます

6月21日(土)午後2時から4時

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター4階大会議室

ハンガリーで総選挙:4月6日投票

ハンガリーで総選挙:静かな街頭、賑やかな報道

新首相を待つ国会議事堂

新首相を待つ国会議事堂

2010年の総選挙後、4年の任期をまっとうしたフィデスが国民の審判を受ける。1990年の民主化後、二期連続で政権を維持したのは2002−2010年の社会党政権しかない。(北海道大学スラブ研究センターのホームページに東欧各国の選挙結果データベースがあるので、詳細はそちらで参照可能 http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/election_europe/hu/result.html)

今回の選挙における最大の見どころは現オルバーン内閣が政権を維持できるかどうかであろう。事前の世論調査ではフィデスが最も高い支持を受けているが、30−40%の支持率に留まっている。2010年総選挙のような3分の2の議席をとる勢いはない。対する前政権党の社会党は、前回の大敗後に分裂し、立ち直れないかに見えたが、今年に入ってリベラル派も含む大同団結がなり、「団結2014」として総選挙に臨んでいる。団結2014を構成するのは旧社会党系の三党【「ハンガリー社会党」:メシュテルハージ・アティッラ党首、「ともに:革新党Együtt-a Korszakváltók Pártja」:バイナイ・ゴルドン党首(元首相)、「民主連合Demokratikus Koalició」:ジュルチャーニ・フェレンツ党首[元首相]】、及びリベラル系の二党【「ハンガリー・リベラル党」:フォドル・ガーボル党首(元フィデス幹部)、「ハンガリーのための対話」:サボー・ティーメラ共同代表(あとで述べる「別な政治を」からの分派)】である。この団結2014にはかつて社会党と連携していた自由民主連盟の政治家(クンツェ・ガーボル、フォドル・ガーボルなど)も加わり、いわば左派連合とも言える陣容である。支持率は20%ほどで、出遅れたにしては善戦している。

フィデスの選挙ポスター。大きな看板が随所に見られる

フィデスの選挙ポスター。大きな看板が随所に見られる

有名政治家を並べた「団結2014」のポスター

有名政治家を並べた「団結2014」のポスター

無党派は20%で、日本ほど多いわけではない。残り20%あまりの有権者のうち、過激な民族派と言われるヨッビクが15%ほどの支持を集めている。党員も4年前の1万人から1万6千人に増えたと言われ、前回の17%を上回るほど支持をのばすのか、それとも前回のようなヨッビク旋風はもう吹かないのか、これが今回の選挙のもう一つの争点である。ヨッビクはハンガリー語でJobbikと表記し、「右派」とも訳せるし、「より良い」という意味にもとれる。反ユダヤ主義を平然と口にし、EU脱退を公約に掲げている。

政治家らしくない候補を立を立てるヨッビク。選挙戦では「生存、秩序、清算」を訴える。

政治家らしくない候補を立てたヨッビク。選挙戦では「生存、秩序、清算」を訴える。

ヨッビクの他に前回の選挙では、リベラルな環境派を中心とする「別な政治をLehet Más a Politika (通称LMP)」も比例区で5%の壁を越える7%の得票率を獲得した。しかし「別な政治を」は議会内で独自路線を貫けず、事実上分裂した。このため、今回の総選挙では5%の壁を越えるのは困難な状況にある。

「別な政治を」も市民感覚の立候補者を立てている。「緑」を強調したポスターで、地下鉄に貼られ、横は普通の商業広告。

「別な政治を」も市民感覚風の候補者である。「緑」を強調したポスター。地下鉄に貼られ、右横は普通の商業広告。

現在の国会に議席を持つ以上の四政党以外に、60ほどの小政党が候補者を立てている。その中にはかつて議席を有していた「小農業者党」や、「社会民主党」、「労働者党」等の「懐かしい政党」もある。また昨年に地方で旗揚げした「ハンガリー・ジプシー党」も含まれる。しかし世論調査結果によれば、いずれの小政党も比例区で5%の壁を越えて議席を獲得する可能性は非常に低い。比例区と並ぶ小選挙区では、政党名ではなく、個人名で投票する。もちろん例外的に二大政党以外から当選する場合もあるが、小政党にとって比例区ほどではないにせよ、小選挙区での勝利も容易でない。

新政党「社会民主ハンガ市民等リー市民党」は貧民救済を全面に掲げ、炊き出しを選挙活動の中心に据えた。

新政党「社会民主ハンガリー市民党」は貧民救済を全面に掲げる。ポスターに多額の選挙資金をかける既存政党を批判し、「今は実践の時だ」を標榜。炊き出しを選挙活動の目玉に位置づけ、2000食を用意した。

ブダペシュトの中心街ブラハ・ルイザ広場の炊き出し所にできた行列。果たして票に結びつくか。

ブダペシュトの中心街ブラハ・ルイザ広場の炊き出し所にできた行列。果たして社会民主ハンガリー市民党への投票に結びつくか。投票日まで炊き出しを続けるとのことである。

選挙戦で日本のように、街頭宣伝カーが大声で候補者名を連呼することはない。ポスターが広告塔や決められた掲示板に貼られている程度で、見た目は静かな選挙戦である。地区ごとの演説会があり、各戸に演説会のチラシがまかれているが、フィデス以外は資金不足のせいか、チラシ攻勢は影を潜めている。

選挙戦の中心はテレビ討論である。もっとも今回の選挙では、大きな政策上の争点形成が行なわれず、相手の失点を暴く誹謗中傷合戦になっている。特に目立つのは旧社会党幹部に対する不正資金疑惑であり、実際に逮捕者も出た。デレビ局のニュースもこの話題を頻繁に取り上げ、反社会党キャンペーンの一翼を担っているかのようである。フィデスに対しても「新興財閥」との政治的癒着を批判する報道が行なわれている。

二大政党による誹謗中傷合戦が激しさを増すと、当然の結果として、有権者の大政党に対する不信感が募っていく。それが第三勢力への支持拡大に結びつく可能性は高い。とりわけヨッビクに票が流れるのではないかと考えられている。まさにこの点が、社会党系とフィデス系の二派に分かれた白熱のテレビ討論で、司会者に指摘された瞬間、両派が急に和んだ態度に豹変したことがあった。

4月6日が投票日である。この投票に参加できるのは、18歳以上のハンガリー国民だが、今回からは事情が少し変わる。ここに今回の総選挙のもう一つの見どころがある。つまり、外国籍でも二重市民権でハンガリー市民権を持つ者は、総選挙に参加できるようになったのである。ハンガリーの近隣諸国に合計で200万人を越えるハンガリー系住民が少数民族として存在する。この人々をハンガリーの国政選挙に参加させようという考えである。ハンガリーの人口が1000万人なので、その20%に相当する規模である。オルバーン首相は前政権時代(1998年−2002年)からこの「国外ハンガリー人」を「ハンガリー国民」として統合する政策を打ち出し、様々な権利を「国外ハンガリー人」に与えてきた。その代表例が「地位法」と呼ばれる特別立法措置であり、隣国でのハンガリー語教育支援などを実践してきた。2010年からの第二次オルバーン政権では、二重市民権を国外ハンガリー人に積極的に供与する施策を行ない、今回の総選挙から二重市民権を取得した国外ハンガリー人が、比例区に限られるが、国政選挙に参加できるようになった。もっとも実際に投票するのは数十万人程度ではないかと予想されている。フィデスはその大半が自党に流れると期待しているが、果たして国外ハンガリー人はどう判断するのか、これも今回の選挙の争点である。(2014年3月15日)

2014年度前半「一緒に考えましょう講座」予定

第21回「一緒に考えましょう講座」

7月17日(木) 午後6時−8時

題目 飯舘村のいま

講師 伊藤由延氏(飯舘村いいたてファーム)

場所 北海道大学学術交流会館小講堂(正門脇)

 都会生まれの都会育ちIT技術者の伊藤氏は 飯舘村で農業研修所をまかされ、飯館の里山社会に 魅せられました。大震災以後も飯館に留まり、放射 線量の計測を続けています。水、空気、土、動植物 を現地で計測する伊藤氏の放射線データは、飯館村 の、物言わぬ生命たちの貴重な証言です。 飯舘村民と共に暮らし、村民の視点で被災者の思い を発信する伊藤氏は私たちに何を語るのでしょうか。

開催済みの講座

4月12日(土)午後2時-4時 第18回「一緒に考えましょう講座」

  • 題目:「東京電力福島第一原発の建設と『慶長津波』の矮小化」

講師:岩本由輝東北学院大学名誉教授 会場:北海道大学スラブ研究センター4階大会議室 お招きする講師の岩本由輝先生は柳田国男研究の第一人者として高名な方ですが、3.11の東日本大震災で相馬市のご自宅が半壊するなど、震災を直接経験されました。もともと福島県や相馬地方の地域史も数多く手がけられ(飯館村史や大熊町史もその一部です)、地域の伝承や口承にも精通されておられますが、震災後、改めて津波関連の歴史文書を渉猟され、地域史の視点から重要な問題提起を続けていらっしゃいます。「慶長津波の矮小化がもたらしたもの」(『宮城歴史科学研究』第72-73合併号、2013年)は岩本先生の震災関連の代表的著作ですが、この中で岩本先生は、歴史文書に記された過去の自然災害の記録を、学者が改ざんしたり誤読して東日本大震災への備えをおこたらせた事など、「科学的知見」に頼ることへ警鐘を発しておられます。ユーモアに富む極めて優れた話者でもあります。

4月13日(日)午後2-4時 第一回 中・東欧研究会

 論題:「文献史資料批判と歴史学(仮題)」

講師:岩本由輝東北学院大学名誉教授 会場:北海道大学スラブ研究センター小会議室

5月以降の「一緒に考えましょう講座」開催予定は以下の通りです。

5月3日(土) 午後2時−4時 第19回「一緒に考えましょう講座」

題目 「福島で生きる人を支えるための放射能測定」 四階大会議室

6月21日(土) 午後2時−4時 第20回「一緒に考えましょう講座」

題目 福島原発事故からの広域避難者の現状とニーズ

講師 湊源道 ルーツ・オブ・ジャパン代表

場所 北海道大学スラブ研究センター4階大会議室  

6月18日杉下初男さん講演会(終了)ご来場ありがとうございました

第15回一緒に考えましょう講座の講師 杉下初男さんの紹介

今中哲二先生たちと開催した3月の東京大学シンポジウムは、出席者が溢れて階段にまで座る盛況でした。大量に用意した資料が払底し、あとはネットで公開しますと発表せざるをえませんでした。市民の知りたい気持ちと、何ができるかという心が主催者を強く励ましたのです。(http://iitate-sora.net/symposium

福島県飯舘村長泥地区から来られて体験を話された杉下初男さんを、今回は札幌にお招きします。是非、みなさんに杉下さんの体験を知っていただきたいと考えます。

杉下さんは長泥に四世代で暮らす家を構えておられます。長寿のお母さんと、美人の奥さん、娘息子夫婦と幼い孫達が杉下さんの宝でした。

長泥は自然の水系を活かし化学物質を使わぬ伝統農業を大切に守って来た地区です。福島第一原発事故により被曝した飯舘村の中で、長泥地区は最も通知が遅れて、避難が遅れた地域でした。当時も取り残され、現在も他の地域に比べて知名度は高くないのですが、その被害は最も悲惨と言わざるを得ません。

杉下さん一家は何も知らされず現地で生活していたのです。避難時には放射能被曝検査を受けさせられ、異常なしと言われたそうです。しかし成田に避難した時に地元の消防署に頼んで、再度、奥さんと被曝検査を受けたところ、高い数値が出て驚きました。

杉下さん一家は現在、お母さんは沖縄に避難してもらい、子供と孫たちは各地に分断されました。奥さんと福島に避難している杉下さんは、長泥に通って故郷の復興のために努力を重ねておられます。高齢のおかあさんはこれ以上、異郷の沖縄に預けておけないと同居を決意する一方、若い娘息子と幼い孫たちは決して故郷に近づけられないという悲壮な覚悟です。しかも故郷の再興計画の中で、地元住民は幾重にも分断させられているのが現状です。

知らないことがどれほどあるのだろう、と杉下さんの講演を聞いて考えました。また復興の試行錯誤がどれほど、地元の共同体を壊しているのか、とも考えこんでしまいます。強く、凛として故郷のために献身する杉下さんから、私たちは多くの事を学べると思います。当日は授業の一環でもありますので、北大の学生たちと一緒に考えましょう。

みなさまのご参加を心よりお待ちしています。

第15回一緒に考えましょう講座「飯舘村のいま」

講師 杉下初男(元長泥地区長、伊達方部飯舘自治会長)

日時 6月18日(火) 午後4時30分から6時30分
場所 北海道大学高等教育推進機構(旧教養部)3階E-311

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